心の病の「流行」と精神科治療薬の真実

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医療ジャーナリスト、ロバート・ウィタカー著『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』を読みました。

帯に書いてある文の一部を引用します

心の病を治療する薬が、実は、病を進行させているとしたら……。アメリカにおける、精神科医、精神医学会、患者団体、製薬会社、政府の利害関係の生々しい現状を伝え、精神疾患の一因は精神科治療薬にあると説く。

本の要旨

500ページにわたる大著なので、要約するのが難しいのですが、独断で2つにまとめます。

  • 精神科治療薬の根拠になっている仮説――例えば、うつ病ならセロトニン仮説――はそもそも実証されていない。
  • 精神科治療薬は治療に役立つどころか、むしろ精神疾患の原因になっている。

驚くべき内容です。

精神科治療薬は治療どころかむしろ悪化させているという現実が書かれています。

すごく恐ろしいことだと思います。

本書の引用・要約

本書の中から部分的に引用、要約します。

ハーバード大学学長のスティーブ・ハイマンは1996年から2001年にかけて、精神科治療薬について学んだすべてを論文にまとめました。
抗精神病薬や抗うつ薬、その他の向精神薬は、神経伝達機能を撹乱します。それに反応して、脳は代償的適応をします。一定の期間が経つとこの代償メカニズムは崩壊し、神経機能の実態的な永続的変化が起きます。

つまり、慢性的な薬物投与によって脳機能が異常をきたすのです。

それどころか、抗うつ薬は効果すら実証されていません。

イギリスのハル大学の心理学者アービング・カーシュの2008年の研究で、抗うつ薬が実際に有用と証明されたのは、最も重篤なうつ病患者に限られており、極めて重度のうつ病患者以外の患者への抗うつ薬の使用を支持する証拠はほとんど認められないようだとカーシュらは結論を出しています。

著者がうつ病の多くの患者にインタビューしたところ、多くの人が10代か20代のころに抗うつ薬を服用し始め、最初のうちは薬が効果を示していたが、やがてうつ病が再発し、以来ずっとうつ病エピソードと闘っているというものだそうです。

もし、私が精神科医だったら

もし、薬が心の病に効果がないどころか、長期的には悪化させているとしたら、私は精神科医にはなれないと思います。
仮に精神科医だとしたら、この事実を受け取りたくないので、巧妙に無視するでしょう。
自分の心が耐えられません。

短期的には必要だという意見もあるでしょう。

確かに短期的には精神科治療薬が必要な場面はあると思います。
しかし、現在処方されているうちのどれくらいが「真に」薬が必要なのでしょうか?

精神科治療薬の多くは長期に渡って飲み続けることが前提です。
そもそも短期の対応とも矛盾するように思われます。

精神科医もおそらくこの事実は分かっているのではないでしょうか。
しかし、薬に代わる代替手段がないので、仕方がないものと推測します。

安易に精神科治療薬が手に入る危険性

本書で抗うつ薬のプロザック(日本未承認薬)の話が書いてありました。プロザックはSSRIに分類される抗うつ薬です。自殺や暴力のリスクが高まる副作用がありますが、それを巧妙に隠ぺいした話が書かれていました。

プロザックをグーグル検索すると、個人輸入のお店のサイトがありました。
レビューを見ると、効果を実感されている人も多くいるようです。
中にはダイエット目的で使っている人もいました。

こういった薬を個人判断で飲むなんて本当に怖いです。
自己責任とはいえ、精神科治療薬のリスクをもっと周知させないと後で後悔する人が大勢出ると思います。

ロバート・ウィタカー著『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』
貴重な本です。

心の病の「流行」と精神科治療薬の真実

ABOUTこの記事をかいた人

よっし~(西川佳宏)

心理カウンセラー/セラピスト(東京・新宿)。得意分野は不安・恐怖の悩み(不安障害、対人恐怖症、あがり症、強迫性障害、パニック障害、PTSDなど)、人間関係(恋愛・家族・職場など)の悩み。柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。公式ブログで分かりやすくこころの仕組みを説明している(無料オンライン講座アリ) プロフィールの詳細はこちら