ストレスとは何か?-身体に影響を及ぼすメカニズム

ストレス身体

ストレスとは何か?

ストレスとは、環境からの刺激によって心と身体に負荷がかかり、生体機能が変化することです。

ストレスが心身に不調を引き起こす原因になります。

米国医師会では健康問題の80%はストレスに関係すると言っています。

ストレスの4つの要素

  • 1. 物理的ストレス:暑さ、寒さ、放射能、騒音、長時間労働など
  • 2. 化学的ストレス:酸欠、化学物質、医薬品、栄養不足など
  • 3. 生物的ストレス:ウイルス、病原菌の侵入など
  • 4. 精神的ストレス:人間関係、経済状態などの精神的苦痛

このうち最も多いのが精神的ストレスです。

特に人間関係のストレスが多いと言われています。

1~4のいずれのストレスも共通するストレス反応を起こします。

ストレス反応のプロセス

ストレス反応には3つのプロセスがあります。

  • 1. 警告反応期(ショック相・反ショック相)
  • 2. 抵抗期
  • 3. 疲憊(ひはい)期

警告反応期

最初の反応は、ストレスを受けた直後に生じるもので「警告反応期」と呼ばれます。

警告反応期はさらに「ショック相」と「反ショック相」に分かれ、ショック相は、ストレス刺激に対してうまく対応できていない時期で、生体機能は一時的に低下し、抵抗力が弱まります。

しかし、ストレスが限界を超えるほどでなければ、すぐに「反ショック相」に入り、ストレスに打ち勝とうとするプロセスが始まります。生体機能は急速に回復し、抵抗力を取り戻します。

抵抗期

警告反応期を過ぎると、次の段階である「抵抗期」を迎えます。

抵抗期はストレスと活性化された抵抗力との間で均衡を保っている状態です。

一見安定した状態に見えますが、抵抗力を高めることでどうにか保っている状態であり、新たに別のストレスが加わったりすると危険なことになりかねません。

この抵抗期には、ストレスを紛らわせるための特徴的な行動が見られます。

嗜癖的行動や強迫的反復行動です。

薬物やアルコール、ギャンブル、買い物、セックス、ゲームなどの嗜癖的行動が起きやすくなります。

また、不安が高まると、意味もなく同じことを繰り返すことが起きます。

それらが固定化して、何かするときにはある決まった行動をしないといられない場合もあります。

こうした強迫的反復行動が見られることがあります。

疲憊期

この抵抗期までに適当な休養やストレスマネジメントがないと次の疲憊(ひはい)期を迎えてしまいます。

これは抵抗力の限界を超えてしまい、均衡が破れた状態です。

生体機能が再び低下し始め、体温低下、体重減少、免疫力低下がみられるようになります。

この段階が、適応障害から心身症やうつ病などの精神疾患を引き起こした状態です。

疲憊期を迎える前に、ストレスに適切に対処することが大切です。

ストレスを受けたときの生理学的変化

適度なレベルのストレスは生理反応を活性化し、活力を生みます。

問題は、耐えられないほどの大きなストレスや、小さなストレスではあるものの継続的に持続するストレスです。

人間は短期のストレスに対抗するシステムは持っていても、継続的に起こるストレスに対抗するシステムは持っていません。

ストレスを受けると、ストレス反応が起こります。

これはストレスから身を守るための防御反応です。

ストレスの種類にかかわらず、共通する反応が起こります。

食欲がなくなったり、胃腸の調子が悪くなったり、高血圧になったり、頭痛や発熱が生じます。

ストレス反応は自律神経系と内分泌系の2つの反応経路があります。

1. 自律神経系(神経を通じた反応)

私たちの身体の細胞のほとんどは自律神経の支配を受けています。

ストレスを受けると、自律神経が警戒態勢に入ります。リラックスした休息モードの副交感神経優位の状態から、戦闘モードの交感神経優位の状態になります。

脳内と交感神経の末端からノルアドレナリンを分泌して細胞にシグナルを出します。さらに副腎の髄質からアドレナリンが出ます。

ノルアドレナリンとアドレナリンの違いですが、ノルアドレナリンは神経伝達物質として私たちの思考や意識を活性化する役割があり、アドレナリンは体内をめぐって各臓器に興奮系のシグナルを送る役割があります。

そして心臓の鼓動を高め、血管を収縮して血圧を上昇させることで身体全体を興奮させ、身体を活動的にさせます。このとき消化管の運動は抑えられます。

危機的状況が去り、副交感神経が優位になれば、副交感神経から神経伝達物質のアセチルコリンが分泌され、細胞にシグナルを出し、心臓の鼓動を緩やかにして血管を拡張させ血流を促し、心身をリラックスさせます。また、食欲も高まり、排便が促進されます。

ところが極度に強いストレスや継続的なストレスは、自律神経のバランスを壊します。

交感神経優位が続くとどうなるか?

交感神経が緊張しっぱなしになると、肩こりや便秘、高血圧、頭痛が起きます。また、胃もたれや口の渇きも起こります。

交感神経と副交感神経が同時に緊張すると胃炎などの原因に

交感神経と副交感神経が同時に緊張することも起きます。強い不安や緊張、怒りを感じた状態が典型的です。

その結果、胃の粘膜を守るために分泌される胃粘液が減り、同時に消化のために必要な胃酸の分泌が増えるといった矛盾したことが起き、胃炎や胃潰瘍を引き起こす原因になります。

ストレスによるインポテンス

また、男性の勃起は副交感神経が活発なときに起こります。

ストレスによるインポテンスは交感神経の興奮が収まらずに副交感神経が優位にならないので勃起できなくなることが原因です。

交感神経と副交感神経が同時に興奮すると、勃起していないのに射精だけが起きるという場合があります。

交感神経と副交感神経が同時に低下するケース

反対に交感神経と副交感神経の働きがともに低下してしまう場合もあります。

強い失望や抑うつ状態ではそうしたことが起きやすいです。

その場合には、活力も意欲もないのにリラックスできず、いらいらしたり眠れないという状態が出現しやすくなります。

2. 内分泌系(ホルモンを通じた反応)

ストレスを受けると、ストレスに対抗するためにストレス・ホルモンを分泌します。

この正体は副腎皮質ホルモン(ステロイド・ホルモン)です。

ストレス・ホルモンが分泌されるまでの仕組みは以下のようになります。

  • ストレス →
  • 脳の視床下部からCRHというホルモンが分泌され下垂体へ →
  • 脳の下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が放出され副腎皮質へ →
  • 副腎皮質から副腎皮質ホルモンが分泌

ステロイドの作用

ステロイドは劇薬です。それだけ強い効果があります。

どう作用するかというと、異物との闘いを止めさせます。

ステロイド薬によって炎症やアレルギーが収まるのもそのためです。

ストレス・ホルモンによって、異物との闘いを止めさせるのはなぜかというと、ストレスという目の前の敵との闘いにエネルギーを集中させるためです。

ステロイド・ホルモンは免疫力を下げる

副作用として、免疫力が落ち、外的に対して無防備な状態を作るので、ばい菌などに感染しやすくなります。

しかし、ばい菌よりももっと重要な闘うべき相手がいるので、デメリットは承知で目の前の敵にエネルギーを集中させます。

また、ストレス・ホルモンは闘いに必要な骨格筋や心肺、中枢神経系への血流を増やす一方、消化管など、さしずめ戦いに不要な部分は手薄にします。

ストレス対抗メカニズムはあくまで緊急措置

私たちが備えているストレス対抗手段はあくまでも緊急避難的措置です。

ストレスが持続する状況に対応するようにできていません。

ストレス・ホルモンが長期にわたって分泌されると悪影響を及ぼし始めます。感染症にかかりやすくなったり、高血圧を引き起こしたり、糖尿病になったり、胃や腸に腫瘍ができたりします。

このようなストレスによって病気を引き起こした状態が心身症です。

また、ストレス・ホルモンは短期であれば脳に覚醒をもたらしますが、長期にわたると疲弊状態に陥ります。

脳の神経細胞を働かせすぎると、反応しなくなったり、死んだりします。

ストレスが長期に渡ると脳が委縮する

あまりに長期にわたってストレス状態が続くと、脳の海馬と呼ばれる領域が委縮し始めます。うつ病やPTSDではこの状態が起こっています。

無力感や記憶力低下、考えをまとめることが困難になるのは、海馬や前頭前野の機能が低下するためです。

ストレスが長期に渡ると副腎が疲労する(アドレナル・ファティーグ)

また、ストレスが続き、ストレス・ホルモンを出し続ける状態が続くと、副腎が消耗します。

そして、ついにはストレス・ホルモンの放出も減少します。

この副腎機能が低下した状態を副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)といいます。

慢性的に疲れていたり、やる気が出なかったり、風邪やアレルギーの症状があったり、低血糖症などが起こります。

なるべく早い段階でストレスに対処することが必要です。

重い症状になるまでにはさまざまなサインがあり、無理が生じているということを間接的に警告しています。

そのサインを放っておかず、早期に対処することが大切です。

ABOUTこの記事をかいた人

よっし~(西川佳宏)

心理カウンセラー/セラピスト(東京・新宿)。得意分野は不安・恐怖の悩み(不安障害、対人恐怖症、あがり症、強迫性障害、パニック障害、PTSDなど)、人間関係(恋愛・家族・職場など)の悩み。柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。公式ブログで分かりやすくこころの仕組みを説明している(無料オンライン講座アリ) プロフィールの詳細はこちら