急性ストレス障害の治療(克服)法

急性ストレス障害とは

急性ストレス障害とは、記事「ストレス障害の症状と種類」に詳しく書いたように、極度のストレス(トラウマ)によってストレス体験直後から、フラッシュバック(追体験)、回避行動、過覚醒の症状が現れ、精神的にも肉体的にも苦痛が生じる症状です。

ストレス障害の症状と種類

2015.07.28

急性ストレス障害とPTSDの違い

PTSD(心的外傷後ストレス障害)との違いは、症状の持続期間で、4週間以内に症状が治まる場合は急性ストレス障害で、それ以上続く場合がPTSDと診断されます。

急性ストレス障害からPTSDになるのは約半数と言われています。

トラウマの処理プロセス

トラウマ体験後、闘争も逃走もできなかった場合、その体験を五感ごとフリーズさせます。

この瞬間に処理することが不可能なので、隔離させるという身体の防衛本能です。

その後、フラッシュバックが現れ、当時の感情が蘇ってきます。

その感情によって神経が高ぶった状態になります(過覚醒)。

トラウマの恐怖からトラウマを連想させるようなものを回避しようとします。

あくまで私見ですが、フラッシュバックは自分で処理できる範囲で感情を処理しようとする人間の本能的反応であると考えています。

フラッシュバックまで含めて防衛本能の一つだと思います。

おそらく、通常であれば1か月以内にはこのプロセスでトラウマを処理できるのでしょうが、この処理過程でトラウマをさらに強めた場合や感情を出すことを極度に恐れて処理できなかった場合、症状が継続すると推測します。

急性ストレス障害の治療

治療には通常心理療法が用いられます。

心理療法には、認知行動療法、EMDRが主流です。

傾聴型カウンセリングは症状を悪化させる

但し、ロジャース型の傾聴型カウンセリングはむしろ症状を悪化させます。

傾聴型カウンセリングは簡単に言えば、クライアントが話すことを聞き、完全な受容によってクライアント本人の気づきを促す手法で、指示、アドバイス、セラピーは一切行いません。

極度のトラウマ以外であれば有効ですが、トラウマの場合は、本人がそれを話すことは非常に酷で、話すことでトラウマの再体験になり、余計に症状が悪化してしまいます。

なので、傾聴型カウンセリング並びにそれに類似するカウンセリングは行ってはなりません。

トラウマ治療では認知行動療法はオススメできない

認知行動療法では持続エクスポージャー療法が効果を上げるとされています。

簡単に言えば、これもトラウマを再体験させるものですが、専門家のサポートの元で安全に行われます。
呼吸法を用いながら、少しずつ慣れさせていきます。

あくまで個人的な見解ですが、持続エクスポージャー療法はオススメしません。

トラウマの再体験をさせるのは相当デリケートに扱わないと症状を悪化させることになりかねず、呼吸法だけでトラウマに向かわせるのは相当酷な療法と言わざるを得ません。

後に説明しますが、EFTのほうが圧倒的に克服が楽で早いです。

持続エクスポージャー療法が急性ストレス障害、PTSD治療の最前線であることに戸惑いを覚えます。

WHO(世界保健機関)は、被災地や戦地に向けて、エクスポージャー療法(曝露療法)をトラウマ治療には使わないように通達を出しています。

EMDRは有効

EMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)は、簡単に言えば、セラピストが左右に振る指をクライアントが目で追いながら、トラウマを思い出すという方法です。

トラウマを思い出してもらうということは一緒ですが、眼球運動を行うという点で認知行動療法と異なります。

なぜ、眼球運動を行うとトラウマの解放に効果があるかというのは詳しくは分かっていません。

個人的には認知行動療法よりもこちらの方を断然オススメします。

もし、民間カウンセラーではなく、医師から治療を受けたいと望むのであれば、EMDRがよいと思います。

EMDRによるトラウマ治療(克服)

2015.08.14

薬物療法は推奨されない

精神科、心療内科では薬物療法も用いられます。

抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が用いられ、不安症状や睡眠の改善には抗不安薬が用いられます。

薬物療法で用いられる薬についてはこちらで詳しく説明しています。

ただ、薬物療法は推奨されません。

WHO(世界保健機関)の2013年ガイドラインでは急性ストレス障害、PTSDの治療には抗うつ剤の使用は推奨されないことが記載されています。

また、抗不安薬や睡眠薬は、回復を遅らせる可能性があり、トラウマ体験から1か月以内にはこうした薬を用いないように勧告しています。

EFTはトラウマ治療にとても効果を上げている心理療法

EFT(感情解放テクニック)は、感情解放に特化した心理療法でトラウマ治療にとても効果を上げています。

簡単に言えば、トラウマ体験時のショックな感情を解放し、トラウマを無効化するものです。

認知行動療法やEMDRと同様にトラウマを思い出す必要はありますが、直接その場面を思い出す必要はなく、遠いところから安全に解放できるテクニックが確立されているため、クライアントはトラウマ時の極度に苦しい体験を再体験することなく、安全に解放できます。

Matrix Reimprintingはトラウマ治療に最も効果がある

EFTの応用系としてMatrix Reimprinting(マトリックス・リインプリンティング)という心理療法があります。

EFTに比べ、応用性と効果の高さで優れており、私が知る限りでは最も効果があると感じています。

急性ストレス障害は一人で克服を目指さないことが重要

急性ストレス障害の克服でやってはならないのは、自分だけで取り組もうとすることです。

自分自身で処理できないからトラウマとなっているものを自分だけで解決しようとするのは無理がありすぎます。

余計に悪化することになりかねません。

専門家の適切なサポートを受けることが重要です。

ABOUTこの記事をかいた人

よっし~(西川佳宏)

心理カウンセラー/セラピスト(東京・新宿)。得意分野は不安・恐怖の悩み(不安障害、対人恐怖症、あがり症、強迫性障害、パニック障害、PTSDなど)、人間関係(恋愛・家族・職場など)の悩み。柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。公式ブログで分かりやすくこころの仕組みを説明している(無料オンライン講座アリ) プロフィールの詳細はこちら