トラウマはポジティブな変化をもたらす面もある

トラウマがもたらすポジティブな道

心的外傷(トラウマ)を受けると、人体は防衛反応として、「闘うか、逃げるか、フリーズするか、こびへつらうか」を選択します。

トラウマの程度と本人の状態によって、ストレス障害にかかる可能性があります。
精神的、身体的に苦しく、PTSDの長さによっては、トラウマそれ自体よりも苦しみを味わうこともあるでしょう。

たとえば、戦争体験をする兵士は、悲惨な状態を目撃し、PTSDになる可能性があります。
悲惨な状況を体験しなかったり、または体験しても、UDINを満たさなかったりすると、正常な状態でいられます。

ところが、正常かPTSDかという2択だけではなく、もう一つの道があります。

それが「心的外傷後の成長」という道です。

心的外傷後の成長

以下はショーン・エイカー著「幸福優位7つの法則」より抜粋します。

「親しい人との死別、骨髄移植手術、乳がん、慢性病、心臓発作、戦闘、自然災害、暴漢の襲撃、難民」――。
これらは私たちに起こりうる最悪のことがらを、無作為に選んで作ったリストのように見えるだろう。
基本的にはその通りである。
しかしこれは、たくさんの人々がポジティブな成長を遂げた、そのきっかけとなったできごとをリストにしたものである。
心理学者はこういう経験を、「逆境下成長」とか「心的外傷後の成長」と呼び、よく使われる「心的外傷後ストレス障害」と区別している。
(中略)
いまではこの研究のおかげで、「重大な苦しみやトラウマは、さまざまな面において、非常にポジティブな変化をもたらす」ということを、格言としてではなく、確信を持って言えるようになった。
たとえば、2004年3月11日のマドリッドの列車爆発事件のあと、多くの住民がポジティブな心理的成長を経験したことが実証された。
乳がんと診断された女性の大半にも同じようなポジティブな成長が見られた。
精神性が向上し、他者への共感が増し、心がオープンになり、最終的には人生全体に対する満足度さえも増したという。
また、トラウマの後、性格的強さと自信が増して、周囲の人々に対する感謝と親密ども増大したという報告もある。

ストレス障害にかかる人と心的外傷後の成長が起こる人との違い

では、トラウマを受けて、ストレス障害にかかる人と、心的外傷後の成長が起こる人と何が違うのでしょうか?

更に著書を引用します。

つらい経験の中で成長していく人と、そうでない人はどこで分かれるのだろうか。
いくつかのメカニズムが関係しているが、一番重要なのはやはり、その人のマインドセット、心の持ちようである。
上方に向かう道を見出す能力は、自分が引いたカードの「手」をどうとらえるかによる。
「逆境下成長」に続く道を見つけるには、状況や起きたことをポジティブに再解釈し、楽観性を失わず、現実を受け入れ、問題を避けたり否定したりすることなく、真正面から見つめることだ。

ある研究グループは、次のように説明する。

「心的外傷後の成長に影響するのは、その出来事がどういうものかではない。むしろその出来事の主観的経験である」

言いかえれば、挫折からうまく立ち上がることのできる人というのは、何が起こったかによって自分を定義せず、その経験から何を得るかによって自分を定義する人である。
そういう人たちは逆境を利用してそこから進む道を見つける。逆境からただ「立ち直る」のではなく、「起き上がってさらに上に伸びる」のである。

トラウマは、あらゆる面においてマイナスの出来事ではありません。

トラウマがあったおかげで成長、満足感が増すケースがあるのです。

出来事をどうとらえるかが重要ですね。

ABOUTこの記事をかいた人

よっし~(西川佳宏)

心理カウンセラー/セラピスト(東京・新宿)。得意分野は不安・恐怖の悩み(不安障害、対人恐怖症、あがり症、強迫性障害、パニック障害、PTSDなど)、人間関係(恋愛・家族・職場など)の悩み。柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。公式ブログで分かりやすくこころの仕組みを説明している(無料オンライン講座アリ) プロフィールの詳細はこちら